細川藩の殉教者たちの足跡
(第18回)
小笠原玄也と加賀山みやH
処刑の日までの最後の50日の間に書かれた遺書の内16通は、現在も熊本大学図書館内で見ることができます。
「キリスト者に対する詮索がまたあり、11月4日、牢屋に入りました。私たち家族全員と仕えている女たち4名を合わせて15人で入ることになりました。」
玄也は、自分たちの信仰の故に起こったこの受難の事実を、動じることなく静かに淡々と書いています。
「女の身でありながらこのような殉教の恵みに浴することは何と幸せなことでしょう。ことばに言い表せないほどです。捨てることのできない信仰ですので生命を捨てることになりました。」
みやも表面は淡々としながらも、その言葉から彼女の確かな信仰が伝わってきます。
子供たちの遺書も残されています。
「玄也夫婦とその子供たちは皆一緒です。数年願ってきた通り、この信仰の故に殺されることになりました。」(源八)
「ついに、この信仰の故に死ぬことになりました。」(クリ)
その他、彼らはこの残された50日の間で、背教した知人たちに、もう一度神に立ち返るよう強く勧める手紙を書きました。
“わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います。あなたがたは心を騒がしてはなりません。恐れてはなりません。”ヨハネ14:27
(文責)サムエル鳥谷部