中浦ジュリアンの足跡
(第17回)
ジュリアン達がマカオに来て1年3ヶ月後、やっと秀吉からの返事が記された日本のゴメス神父からの手紙を受けとりました。そこには、「関白はきリスト教は好みませんが、純然な外交使節なら会見してもよい、と言っております。」とありました。やっと日本に帰れます!さらに7ヶ月間風を待って、1590年6月23日、2年近くも滞在したマカオを出港し一路日本へ向かいました。
そして1590年7月28日、ジュリアン達は8年半にもわたる長い長い旅を終えてついに長崎まで戻ってきました。ジュリアンはもう22歳の青年になっていました。
港には、ジュリアン達の帰国を聞いて教会の関係の人たちが大勢かけつけ、まるで祭りのようなさわぎでした。今は亡き大村純忠の世継ぎである大村喜前(よしあき)や有馬鎮純もジュリアン達の無事の帰国を喜び、多くの家臣を引き連れやってきてくれました。
ジュリアンも、迎えに出ていた2人の姉妹との再会を喜びました。しかしその時、ジュリアンの母は1年程前に既に天に召されていたことを知りました。
母親を天に送ったジュリアンは、いよいよ天に希望を置いて、この地上での生涯を、この日本においてただイエス様を愛し、イエス様をできるだけ多くの人たちに宣べ伝えるために献げよう、と決心を新たにしたのでした。
(文責)サムエル鳥谷部